令和3年9月1日付けの厚生労働省の疑義解釈です。
歯科、全部で11問あります。今回は歯科のみです。

問1
区分番号「M010」に掲げる金属歯冠修復に係る留意事項通知(15)及び区分番号「M029」に掲げる有床義歯修理に係る同通知(8)において、「なお、実施に当たっては、関連学会の定める基本的な考え方を参考とする。」とあるが、「関連学会の定める基本的な考え方」とは何か。
(答)
日本歯科医学会の「磁性アタッチメントを支台装置とする有床義歯の診療に対する基本的な考え方」(令和3年8月日本歯科医学会)を指す。
 
問2
令和3年9月1日付けで保険適用された磁性アタッチメントは、区分番号「M018」に掲げる有床義歯及び区分番号「M019」に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯に用いるのか。
(答)
そのとおり。
 
問3
有床義歯に磁性アタッチメントを使用することを目的とし、キーパーを装着した金属歯冠修復で根面を被覆した場合及び磁石構造体を装着した場合において、診療録にはどのように記載すればよいか。
(答)
キーパーを装着した金属歯冠修復で根面を被覆した場合は、「キーパー付根面板」又は「RCK」と記載し、磁石構造体を装着した場合は、「磁石構造体」又は「マグ」と記載する。
 
問4
区分番号「M018」に掲げる有床義歯に係る留意事項通知(8)について、「残根歯を利用したアタッチメントを使用した有床義歯は算定できない。」とあるが、これにかかわらず、有床義歯に磁性アタッチメントを使用することを目的とし、磁石構造体を装着した場合は、所定点数により算
定してよいか。また、既に装着されている有床義歯に磁性アタッチメントを使用することを目的とし、磁石構造体を装着した場合も算定できるか。
(答)
いずれの場合においても所定点数を算定してよい。なお、適応症例については、問1のとおり「磁性アタッチメントを支台装置とする有床義歯の診療に対する基本的な考え方」(令和3年8月日本歯科医学会)を参考とすること。
 
問5
磁性アタッチメントを使用することを目的とし、有床義歯に磁石構造体を装着した場合、区分番号「M029」に掲げる有床義歯修理を準用して算定することとされているが、「第12部 歯冠修復及び欠損補綴」の通則4、通則6及び通則7に該当する場合は、どのような取扱いとなるのか。
(答)
この場合、所定点数の100分の50に相当する点数を加算して算定することとする。ただし、キーパー付き根面板を使用することを目的として装着した場合、区分番号「M005」に掲げる装着の「1  歯冠修復」及び注2に規定する「内面処理加算2」並びに区分番号「M010」に掲げる金属歯冠修復の「1のイ 単純なもの」については100分の50に相当する点数の加算の対象とはならず、それぞれ所定点数により算定すること。
 
問6
磁性アタッチメントを使用することを目的とし、有床義歯に磁石構造体を装着した場合、区分番号「M029」に掲げる有床義歯修理を準用して算定することとされているが、有床義歯を製作し装着した日から起算して6月以内に、磁性アタッチメントを使用することを目的とし、当該有床義歯に磁石構造体を装着した場合はどのような取扱いになるのか。
(答)
磁石構造体を装着する場合は、区分番号「M029」に掲げる有床義歯修理の所定点数により算定する。
 
問7
新製有床義歯又は既に装着されている有床義歯に磁性アタッチメントを使用することを目的とし、磁石構造体を装着した場合に、診療報酬明細書はどのように記載すればよいか。
(答)
診療報酬明細書の「傷病名部位」欄には、MT又は義歯フテキ等の実態に応じた傷病名及び部位を記載すること。なお、有床義歯に磁性アタッチメントを用いた治療である旨が分かる傷病名でも差し支えない。
 
問8
キーパー付き根面板を装着する場合、当該処置を算定する場合の傷病名については金属歯冠修復で根面を被覆した場合と同様に記載すればよいか。
(答)
診療報酬明細書の「傷病名部位」欄には、歯の実態に応じた傷病名及び部位を記載すること。なお、有床義歯に磁性アタッチメントを用いた治療である旨が分かる傷病名でも差し支えない。
 
問9 必要があって磁石構造体又はキーパーを除去する場合、区分番号「I019」に掲げる歯冠修復物又は補綴物の除去の「1 簡単なもの」を算定してよいか。
(答)
そのとおり。1個につき1回算定する。
 
問10
再度根管治療を行う場合等であって、歯根の長さの3分の1以上のポストを有するキーパー付き根面板を除去する場合の算定についてはどのように考えればよいか。 また、上記に該当しない長さのポストを有するキーパー付き根面板を除去する場合についてはどのように考えればよいか。
(答)
前段の場合においては、区分番号「I019」に掲げる歯冠修復物又は補綴物の除去の「3 著しく困難なもの」を算定する。また、後段の区分番号「I019」に掲げる歯冠修復物又は補綴物の除去の「3 著しく困難なもの」の算定要件を満たさない長さのポストを有するキーパー付き根面板を除去した場合には、「2 困難なもの」を算定する。 なお、同一歯について、キーパー及び根面板の除去を一連に行った場合においては、主たるものの除去に対する所定点数のみを算定する。
 
問11
磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)の実施等に当たって、必要があってキーパーを除去した後、再度新しいキーパーを根面板に装着する場合は、どのように算定すればよいか。 また、当該処置を算定する場合に、診療報酬明細書はどのように記載すればよいか。
(答)
この場合は、区分番号「M005」に掲げる装着の「1 歯冠修復」及び注2に規定する「内面処理加算2」を準用して算定する。また、保険医療材料料は、区分番号「M005」に掲げる装着の「1 歯冠修復」に準じて算定するとともに、キーパーの材料料を算定する。 診療報酬明細書については、「歯冠修復及び欠損補綴」欄の「その他」欄に「キーパー」と表示し、点数及び回数を記載するとともに、その他の項目に関しては所定の欄に点数及び回数を記載すること。なお、傷病名等については、その旨が分かる内容で差し支えない

厚生労働省 厚生労働省保険局医療課
事務連絡 令和3年9月1日 「疑義解釈資料の送付について(その74)
全4ページ 歯科 1ページ~4ページ